解説
統計学で行われる近似手法ではマクローリン展開・テイラー展開後に 次以降を 剰余項 で書くことがあります.
次以降を 剰余項 といい, この記事ではそのなかでも ラグランジュの剰余項 を紹介します.
を剰余項という.
は の近似式, はその誤差として考えるとわかりやすいです.
複数回微分表記
の 回微分を と表記しています
ラグランジュの剰余項の定義
は区間 で 回連続微分可能とする.
のとき,
を ラグランジュの剰余項 という.
解説
ラグランジュの剰余項は
と表される.
このとき が有界なら
が成り立ち,
と書ける.
つまり が に近づくとき, 誤差 は に定数倍かけた程度以下 になるということです.
証明
を区間 で 回連続微分可能であるとき,
をマクローリン展開すると,
ここで
とする.
これ以降便宜上 を で書く.
ここで補助関数 を定数 を用いて, となるように定義する.
より,
したがって,
また より , したがって は区間 に対して,
より常に
の 階微分 は,
とかける.
ロルの定理より
したがって は区間 に対して,
これを まで繰り返す. 簡潔に表にすると,
| 関数 | 区間 | ロルの定理 | の範囲 |
|---|
| | | |
| | | |
| | | |
| | | |
| | | |
読み方は, [関数] は [区間] に [ロルの定理] を満たす が [ の範囲] に存在する
は より
とする.
ここで は 次多項式より
また より
これで証明終了.

日本統計学会
統計検定1級公式教本 網羅的に記述してあるので辞書的に使うことをおすすめします

竹村 彰通
統計検定1級対策に定番の書籍 難易度は高めだが演習問題も豊富

杉山 聡
微積分と線形代数の重要公式を背景と考え方から解説してある入門書です.